剱岳 北アルプス2003年7月19〜21日夜行3泊4日

1年で1番山が混む日、向かうは「雪と岩の殿堂」剱岳。
行程
1日目●神戸〜夜行
2日目●室堂〜剱沢小屋
3日目●剱沢小屋〜剱岳〜剱沢小屋
4日目●剱沢小屋〜室堂
                         
行動時間
2日目●4時間15分
3日目●7時間30分
4日目●3時間15分

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■1日目 神戸〜夜行

やってきました!海の日が。天気予報では連休も雨が続くという。梅雨明けはどこに行った!?しかし、そんな予報は山に行く方々には聞こえていないらしい。上高地、白馬、そして室堂に向かう「さわやか信州号」を待つ登山者で混み合う難波O-CATはこれから山に向かう興奮に包まれていた。予定より30分遅れて難波をバスは出発した。そして1時間遅れで京都駅に到着。ここで母親と合流。もう!待ちくたびれたわ!と憤慨しているが、なんだか楽しそう。

しかしこのバス、古いバスでシートのクッションがへたっているではないか。「白馬行き」の三宮から乗ったシャトルバスは、乗り心地がよかったぞ!けれど、SAでの休憩でバスが停車する度に目が覚めたが、寝つきの悪いビスタ〜リにしてはよく眠れた。


■2日目 室堂〜剱沢小屋

室堂に7時半ごろ到着。雨が降っていて、風も出ている。もちろん立山三山なんか見えっこないのだ。 バスターミナルの中で朝食を食べ、雨具を着て、雨でも一応日焼け止めはしっかり塗り、しゅっぱ〜つ!

室堂の散策路をしばらく歩くと、雪渓が出てきて慎重に歩く。今日のビスタ〜リ、ダブルストックのデビューの日でして、使い慣れないからなんだかぎこちない。雪渓も歩いたことがないから、おっかなびっくり。そして雷鳥沢のテント場に着く直前で、悲劇に見舞われる。つるつるに凍った氷の上で思いっきり滑って尻もちをついてしまったのだ。後ろを歩いていた男の人があまりの滑りっぷりに、思わずプッと吹き出したのをビスタ〜リは聞き逃さなかった。失礼な!

あまりの痛さに動揺するも、さらに雷鳥坂へと進む。そこでまたしても雪渓!しかし、痛みをこらえて気合いで進む。ほどなくすると雪渓が終わり、つづら折りの登山道が続いていた。休憩の度に登山道を振り返ると、カラフルな雨具を着けた多くの登山者が次々と登ってくる。こんな天気でも多くの登山者がいる、それが北アルプス。なかにはヘルメットやザイル、ピッケルの装備のいでたちの人達がいたりして、改めて剱岳に登るのだと緊張してしまった。斜面には高山植物の花がいっぱい。

強風で雨が真横に打ちつける中、11時過ぎに剱御前小屋のある別山乗越に到着。小屋に入ってあんぱんやらお湯を湧かしてコーヒーを飲んでくつろいだ。この天候では、もはや食べる事しか楽しみがない。

30分ほどたって、さあ、これから本日のお宿、剱沢小屋まで下る。せっかく登ったのに下るなんて、なんかもったいないけど、仕方がない。母は登りは遅く、少し歩いては休憩する有様だが、下りは飛ばす。たまに走り出してしまうくらいだ。この時も先行している団体にぴったりとくっついている。最後尾の人が困惑しているのは明らかだ。前の人と距離を開けて歩かないと、危ない事を注意しなければならない。しかし、その団体の方が一枚も二枚も上手だったのだ。雪渓の下りをひょいひょいと凄い早さで降りて行き、ビスタ〜リたちはみるみるうちに差をつけられてしまった。

ガスで真っ白ななか、雪渓の足跡を頼りに下っていく。やがて、テント場に到着。そのテント場のわずかに離れた場所に剱沢小屋があるのがガスのなか一瞬見えた。あそこに小屋があるで、と母にいうが、あっちの方じゃないかと違う方向を指差す。あの〜、こっちなんですけど〜。ちょっと軽くパニくっているのだな、と感じたのでテント場にいる人に確認しようと言い出したので、その通りにした。やはり、その人もビスタ〜リと同じ方向を指し示したのでやっと納得したらしい。雪渓を横に渡って剱沢小屋に到着。12時45分であった。

受付の時、明日の予定で剱岳に登ると告げたら、今日のような天気が続くなら中止してください、といわれる。もちろん、雨の中行こうなんて思ってませんってば。「小窓」という2階の8畳の部屋に入った。歩行時間が少なかったものの、悪天だったり尻もちをついたダメージがあり、疲れてしまった。今日は夜までたっぷり時間もあるので、服を乾かしたり、シャワーを使わせてもらったりとゆっくりと過ごした。寝返りをうつとおしりが痛いので、寝る前に痛み止めを飲んで眠りについた。

痛みに耐えて登る

一服の清涼剤・雷鳥坂にて


■3日目 剱沢小屋〜剱岳〜剱沢小屋

朝起きると、雨は降っていなかったがあいかわらずどんよりとしていて、剱岳は拝めない。昨日もらった朝食のお弁当と、眠る前に必要なものだけをパッキングしておいたザックを背負う。早い人で3時には出かけたらしい。

5時に出発する。もちろん、天候が悪くなれば引き返すつもりで。剱沢雪渓を横目で眺めながら雪渓を渡る。…まだおしりが痛い。筋肉痛がひどくなった時のような痛みだ。ちょっとした登りでも、足を上げる度に痛いのが情けない。6時、一服剱に到着。ここで前剱に登っている人がガスの切れ間からわずかに見えた。母は、えー、あんなに下ってあんなに登るのかーっ、とはやくも弱音を吐いている。前剱の登りの途中、ろうそくとお菓子のお供物があった。先週、ここで落石による死亡事故があったらしい。手を合わせておいた。

6時45分に前剱に到着。お弁当を食べる。母はすでに疲れているのだろう、食欲がなく半分残してしまった。痛み止めを飲もうと思ったが、副作用が気になったので止めておいた。またしても下り、最初の難関、岩場をトラバースする鎖場が出てきた。この場所を雑誌の写真で何度も見ていたのでうれしくなってしまった。が、母は怖がって動けなくなってしまった。ここで母は引き返すことにして、一人で進むことにした。

平蔵のコルを過ぎると、行列ができている。カニのタテバイだ。渋滞していて数珠つなぎだ。誰か滑落すると、後続の人たちがみんな落ちるんだろうな、と思いながら精神を集中させて岩に取り付く。あっというまに難所を終えると、またまた登り。下りのヨコバイでの渋滞を横目で見て、ほどなく頂上に9時に到着。

ガスに遮られて展望はまったくない。せまい頂上は人でいっぱいだった。後で母に見せびらかそうと祠の前で記念撮影したりして、ガスがひくのを待っていたが30分で下山することにした。

下りは頂上からずっと前後に人が間断無くいて、数珠つなぎ状態だ。ヨコバイでは、最初の1歩である足のかける場所が見えない。前にいる人に最初の1歩の足の置き場を、「あと10センチ下に足場があるよ。」と教えてもらった。それではビスタ〜リもと、後続のお兄さんに教えてあげようと顔を見ると、平気そう。でも「大丈夫ですか?」と声をかけた。すると、「全然大丈夫じゃないです!」と顔をこわばらせているので教えてあげた。「ありがとうございます!!」と言った。どういたしまして。人は見かけじゃないのね。

梯子、鎖場と緊張する場面が続き、落石を起こしやすいガレた長い斜面を下る。ええ〜い、前剱はまだかあ!と、ここでコルに出て、急斜面を登る。その先のピークでは人がたくさんいてこちらに向かって手を振っている。やっと前剱に戻ってきたー!と、そこから見下ろすと山小屋が見えた。あれれ〜!?剣山荘ではないか。じゃあ、ここは、一服剱か!前剱は知らない間にピークをまいた登山道を歩いてきたのだ。ちょうど2時間かけて戻ってきた。剣山荘では多くの人が昼食を食べていて賑やかだった。ガスの切れ間からは鹿嶋槍ヶ岳が見えた。

雪渓を通って、再び剱沢小屋に戻ってきた。12時30分。母は談話室で他の登山客としゃべっていた。「一服剱にいたら、ヘリが来て遭難者を運んで行った!」と興奮気味に話す。ちょうどカニのタテバイを登り終えた頃に聞こえていたヘリだな、と思った。あと、ヨコバイの通過中にもヘリの音がしていた。無事に戻ってこれて本当によかった。

食堂のすみを借りて、昼食のカップラーメンやパン、モモ缶を食べる。ちょうど、雨が降り出した。ぎりぎりセーフであった。連泊なのでゆっくり過ごす。剱岳が一瞬姿を見せたので、カメラを手に窓辺に張り付いていたが、その後も見えず。すると、突然ヘリの音が。一斉に宿泊者は外に出たり、窓から見守る。テント場で宿泊していた女性が剱岳で滑落して、怪我を負ったらしい。その救助だった。その夜は、難所の数々を思い出してしまい、なかなか眠れなかった。

前剱直下の岩場

ガスで高度感ナシ・タテバイ

一服剱から剣山荘を見る


■4日目 剱沢小屋〜室堂

本来なら、立山三山を縦走する計画だった。しかし、やはり今日も雨が降りガス!室堂まで1日目と同じ道を戻ることにした。

別山乗越までしんどい登りが続く。途中、大きなザックを背負った女の子を抜かす。雨の中テントは大変だっただろう。雷鳥坂もどどどーと降りて行き、雪渓ではスキーのごとく滑りおりた。ここまではあっという間だったが、硫黄のにおいがする階段状遊歩道では疲れが出てきてだらだらと歩いた。

観光客が多い中、みくりが池温泉に到着。日本最高地の温泉で汗を流す。剱沢小屋で同室だった人もいた。昼食の場所を探したが、雨で適当な場所がなく、しかたなく混み合うバスターミナルの中で食べた。

今回は余裕のある行程ではあったが、ずっと悪天で雨具を脱ぐことができず、また尻もちのハプニングもありかなり疲労が残った。お尻はその後2週間は痛み、すっかり雪渓にトラウマを残すことになった。幸い大阪行きのバスは、初日のバスと違って、多少はお尻に優しい弾力のあるシートであった。12時30分に「さわやか信州号」は室堂を出発した。

ケガ人を運ぶ遭難救助ヘリ

最終日も剱岳はガスの中…

さらば立山・剱岳

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