白馬岳〜鹿島槍ヶ岳 縦走 Part2
北アルプス2005年8月6〜10日車中泊5泊5日
猿倉〜白馬岳〜白馬鑓ヶ岳〜唐松岳〜五龍岳〜鹿島槍ヶ岳〜種池〜扇沢

花と岩と雷・後立山連峰はアメとムチを使い分けるニクい奴!
行程
1日目●自宅〜猿倉
2日目●猿倉〜白馬岳頂上宿舎テント場
3日目●白馬岳〜白馬鑓ヶ岳〜唐松岳
4日目●唐松岳〜五龍岳〜キレット小屋
5日目●キレット小屋〜鹿島槍ヶ岳〜種池山荘
6日目●種池山荘〜扇沢
                         
行動時間
2日目●6時間45分
3日目●9時間35分
4日目●7時間50分
5日目●7時間20分
6日目●2時間30分

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■3日目 テント場〜白馬岳〜杓子岳〜鑓ケ岳〜不帰ノ嶮〜唐松岳〜唐松頂上小屋テント場

試練の縦走2日目がやってきた。本日は白馬三山を縦走後、不帰ノ嶮を越えなければならない。母親たちは、やはり初めてのテント装備で朝日岳に行くのは不安だということで、私と同じく白馬三山を縦走後、鑓温泉へのコースに変更。初めてにも関わらず無謀にも白馬岳を選んだから、きっと神様はこの人達に雷雨をお見舞いしたに違いない。

5時10分、ザックをテント場に残して、空身で山頂に向けて出発。もうこれはホテルといっても差し支えない「白馬山荘」を目指して歩く。白馬山荘からはギザギザの道になり、6時ちょうどに山頂到着。山頂の道標の周りでは大勢の登山者が記念撮影大会を開催中。スキを見てさっさと撮影、少し離れた岩場へと移動。南方向を覗くと、白馬山荘が断崖絶壁の上に建っていることがよくわかる。その後ろに、杓子岳と鑓ヶ岳が朝日をうけて佇んでいる。

天上の巨大山小屋、いやこれはホテル! 白馬岳って結構険しいんですね

山頂からテント場に戻る間に、白馬山荘への荷揚げのヘリが5往復もしていた。ザックを背負って6時30分、南下開始。杓子岳への縦走路は比較的緩やか。長く伸びる縦走路を眺めながら前進するのは、縦走の醍醐味である。ところが杓子岳に近づくと、意地悪なガスが視界を遮ってしまう。

白馬山荘の後ろは杓子、鑓ヶ岳 杓子岳に向けて縦走中・雄大です

7時40分、杓子岳の直下の分岐で、巻き道の方を迷うことなく選択して山頂をスルー。鑓ヶ岳へは花を見ながら楽しく登り、いったん緩やかな道となり、8時55分に鑓ヶ岳山頂に到着。鑓ヶ岳という名だから、狭い山頂を想像していたが、結構広い。山頂からは、目指す不帰ノ嶮や唐松岳はガスの中で見えない。一体、どんな稜線が私を待ち受けているのだろうか。

鑓ヶ岳へは登山者の行列が ミヤマアズマギク
ミヤマアケボノソウ イワツメクサ

鑓ヶ岳から20分で鑓温泉への分岐に到着。いよいよここからは一人旅だ。自然とペースが上がる。天狗山荘に9時50分到着。不帰ノ嶮を前に充分休息しておく。山荘の売店では、不帰ノ嶮の通行の記念手形なるものが売られていたが、まだ踏破していないしなあ、と買うのはやめた。休憩中、団体ツアーのガイドさんから、午後からまた雷雨の予報が出ているので気をつけて、と言われる。

10時20分に出発。キレット方面に向かう人影が全くないので不安倍増。しばらく歩いて振り返ると、カップルがこちらに向かっているのが見え、少し安心する。天狗の頭で休憩していたおじさんと、しばし立ち話。「すごいなあ、白馬から?私は天狗山荘に泊まって、1日この辺りをゆっくり散策しているんだよ。この先の道に、コマクサがいっぱい咲いていますよ。」先を急がない、おじさんの山行スタイルこそ素晴らしいと思う。私ときたら、せっかく教えてもらったのに、コマクサに目もくれず先を急いでいる。単なる移動になり下がっている。

天狗の頭から下ると、続々と北上してきた登山者とすれ違うようになった。全員、判で押したように、疲れ切っていた。大学生の男の子のグループなんぞは、聞いてもいないのに「天狗の頭ってどの辺りですか?もう、さんざん登って疲れ果てました・・・」。

天狗の大下りまでは、なだらかな道 不帰ノ嶮・1峰の頭

「ここから『天狗の大下り』」と書かれた看板の場所に着いたら、一瞬ガスが引いた。「天狗の大下り」を目で辿っていくと、まさに「奈落の底」!!しかも幾重にも重なる峰々の遥か遠くに唐松岳。絶望的な気持ちで、慎重に鎖を補助にしながら下っていく。ここで滑落して骨折でもしたら目も当てられない。登ってくる人達は、息も絶え絶え。それでも、不帰ノ嶮をほとんど踏破したのも同然なので、この人達が羨ましくて仕方がない。

11時40分、最低鞍部まで下ると、大学生グループが楽しそうに昼食中。明るい彼らと、1峰を見上げていると肝が据わってきた。前進するのみ、なのである!「もう、とことん楽しむしかないのだ。」休憩後、1峰に取り付く。鎖の岩壁だが難無く通過して、12時30分に1峰の頭に到着。ようやく先行者を発見。2峰の難所に取り付いているところだった。カチャカチャと岩に鎖の擦れる音だけが響いてきた。

トウヤクリンドウ 2峰の岩壁・こっちに倒れてきそう

2峰への登りが一番の難所と言われている。目の前で見上げると、巨大な岩のカタマリ(軽くビル1軒分)がこちらに倒れてきそう。「滑落注意」の黄色い看板が緊張を高める。ホールド、スタンスともに豊富で何ということも無いのだが、朝の5時から歩いている身としては、疲労はピーク、力が抜けないように腕と足に力を入れるだけで精一杯なのだ。ひとつ岩を超える度に息を整える有様。登りきると、トラバースして鉄製の橋を渡る。その後、長野側に回り込んで痩せた稜線を登ると、鎖場と梯子。ストレスか、疲労か?胃が痛くなってきた。そして13時10分、ひょいっという感じで2峰の北峰に到着。

先行していたグループが出発するところだった。「ひとりで!?」「はあ、ひとりです・・・。」何だか単独を咎められているようだが、「よかったら一緒に行きませんか?」と親切にも誘って頂いた。もう少し休憩したいのでお断りした。難所を通過したことと、人に会ったことで安心しつつ、2峰の南峰に到着。さきほどのグループから再度、一緒に行きませんか?と声をかけられた。親切が心に染みた。

蒸し暑く、かすかに雷鳴が聞こえてきたので、急いで3峰に向けて出発。しかし14時ごろ、ついに雨が降ってきた。雨具を着て、カメラや携帯の類いをジップロックに入れる。急いでいるつもりでも、緩慢な自分の動きにイライラする。雨足が強くなったところで、先行のグループに追いついた。追い越させてもらって、3峰を目指す。やっと3峰に到着かと思いきや、「・・・?」見覚えのある山頂。道標を確認すると唐松岳だった。14時25分。

やった!到着!!本日の行程は終了だー!!!

2峰の北峰からは問題ない稜線歩き もう歩かなくていい!唐松岳に到着

雨も止んできた。鑓温泉にいる母親に電話すると繋がった。先ほどの雷雨で心配していたようだ。お互いに安心をして電話を切った。

しかし、試練は続くのだ。14時45分、山荘に到着した途端、大雨が降りだしたので、食堂の「ベルグ」で雨宿りをすることに。凍らせたジョッキがニクい演出の生ビールで、不帰ノ嶮の踏破の祝杯。同席のご夫婦と楽しく会話をして時間を潰し、小降りになったところでテント場に急いだ。テントを設営した途端に、激しい雷雨の再襲来。FMラジオから聞こえる福山雅治の声だけが、心の拠り所となる。

キンキンに冷えてます!自分にご褒美 テント場は段々畑のような所

改めて食料を見ていると、1日分の朝・夕食が足りない。バカだ、勘違いをして忘れてきたのだ。「テント泊縦走で基本の食料計画もロクに立てられないなんて情けない!!」と自分を罵倒した次の瞬間、「種池と針ノ木の小屋の夕食で、美味しいのはどっちだろう?」と考えていた。

やっと雷がおさまった頃にはもう18時半だ。疲労で食欲がないが、水を買いに行き、食事の支度。無理矢理食べたレトルトのカレーが激辛。どうして神は最後まで私に試練を与えるのか?お花畑から不帰ノ嶮、雷雨、激辛カレーまで、とても一日の出来事には思えないのだが、思い出に浸る間もないまま、とにかく明日の為に早く寝た。

4日目は[白馬岳〜鹿島槍ヶ岳 縦走 Part3]に続く!


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