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■4日目 高天原山荘〜温泉沢〜温泉沢ノ頭〜赤牛岳〜読売新道〜奥黒部ヒュッテテント場
久しぶりの小屋泊まりで、案の定よく眠ることができなかった。どうもあの共同の布団というのが苦手。シュラフを使えばよかった。3時に起きて真っ暗な小屋前でラーメンの朝食をすませて、4時25分出発。
朝風呂に出かけて帰ってきた臆崖道さんご夫妻と途中ですれ違ったが、その時はヘッデンの明りを相手の顔にあてないように顔をそむけたので、誰だかわからなかった。お別れの挨拶ができなくて残念。露天風呂までの道は昨日往復したので問題ない。温泉沢までくると朝風呂といきたいところだが、今日は露天風呂に手を浸すだけで我慢。
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食堂のランプが灯り、山荘の一日が始まります |
月明かりの露天風呂。手だけ浸して少し力をもらいます |
ここからは、しっかりつけられたマーキングが導いてくれるので、とにかく温泉沢に沿って歩けばよい。この日は1週間以上晴天が続いていたので、水量が少なく河原遊びのように右に左にと沢を簡単に渡れたし、岩にうっすら先行者の足跡も見つけることができた。これが大雨の後だと、マーキングが隠れてしまい、渡渉も困難になるだろう。(※温泉沢ルートは必ず山荘に状況を確認してください)
高天原山荘に貼られていた図解どおりに、進行方向の左上に目立つふたつの岩壁が現れた。これらの岩壁を通り過ぎて後方になるまで歩くと、沢は3つに分かれる。かなり目立つマーキングが進行方向を指示していた。
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目印のふたつの岩壁。この横を通り過ぎます |
支流に付けられた大きく目立つマーキング |
右の支流に入ってしばらく登ると、遠くに滝が見える。行き止まりの目印であるロープがあり、沢の真ん中に道標がある。懇切丁寧な破線ルートに少し拍子抜けする。5時25分着。ここから、沢とお別れして左の尾根に取り付く。これからは一気に標高を稼ぐ急登一直線だ。取り付きには1本のロープがぶら下がっているが、特に難しくはない。
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尾根の取り付き点。行き過ぎないようにロープがかかっていた |
尾根への取り付き。よいしょっと(※) |
しばらく樹林のなかを歩いていくと、やがてハイマツ帯へ。トレースはしっかりついているので迷うことはない。振り返ると、薬師岳が徐々に赤く染まっていく。裾野まで露になった3つのカールを抱く薬師岳の姿はどこか女性的で美しかった。途中、急斜面に無理やりザックを降ろして休憩したが、上げ降ろしには注意が必要。
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取り付きからしばらくは針葉樹林の道 |
やがてハイマツ帯となり、視界が一気に広がります |
歩けども歩けどもなかなかつかず。稜線を見上げてはため息の連続。こちら、すいすい登る人 |
気を紛らわせるために背後の薬師岳を何度も振り返りながら。こちら、息も絶え絶えの人(※) |
だいたい8合目あたりにきたところで再び道標が。下を覗き込むと後続のグループがどんどん距離を縮めてくる。のんびり休憩したいが、抜かれるのはくやしいので嫌々歩く。温泉沢ノ頭に到着、8時15分。
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破線ルートですが道標の整備はされていました |
雲ノ平と黒部五郎岳 |
温泉沢ノ頭に乗っかると、裏銀座の稜線と再び対面する。また戻ってきたよ。高天原山荘がはるかかなた下に見える。よくあそこから登ってきたもんだ。目指す赤牛岳への稜線は比較的アップダウンが緩いように見えた。が、これが後で大きな間違いであることに気がつかされる。
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やりました!到着です。温泉沢ノ頭 |
はるか下に高天原山荘の赤い屋根と湿原が |
赤牛岳へ向けて歩き出すと、急に眠くなってきた。ガレ場や跳ぶように歩かされる大岩が堆積していたり、広々と平坦になったりと、意外と変化に富んでいた。
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温泉沢ノ頭から赤牛岳に向けて歩く。見た目のたおやかさと違ってアップダウンが多い(※) |
写真を撮るのに、たけさんに先に歩いてもらったら、あっという間に引き離された。こちらの遅いペースに付き合ってもらって申し訳ない気持ちになった。相変わらず眠くてとろとろと歩いていたら、たけさんに「休む?」と言われた。見た目に疲れているのはまずいなあと思ったので、顆粒のアミノバイタルの力を借りる。赤牛岳への最後の登りをなんとかがんばって、赤牛岳に到着、10時50分。
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こんな広々とした道も。砂漠のような雰囲気です |
クモマスミレ |
赤牛岳山頂より、水晶岳方面を見る。雲があやしい |
赤牛岳から、長い長い尾根の下を覗きこむと黒部ダムが見える。この広大な北アルプスの山塊の「端っこ」に立っている感覚が気持ちいい。赤牛岳の文字が消えかけている地味な木製の道標も、北アルプスらしくなくていい。とはいえ、まだ読売新道の長い下りが残っていると思うと気が重かった。暗い雲がみるみると発達しているのも不安に拍車をかける。絶対にコースタイムを上回ることは予想できる。これ以上私のペースに合せてもらうのは悪かったので、たけさんに先に行ってもらうように言う。
山頂から浮石だらけのザレた急坂が始まる。足を滑らせたら東沢谷まで落ちてしまいそうな痩せた尾根や、体力を消耗する堆積した大岩を越えたりと、まったく気が抜けない。読売新道では「8/8」から始まって、「7/8」「6/8」……と指標がつけられている。それをカウントしながら淡々と下る。
木道が出てきて樹林帯に入る。蒸し暑く汗が噴き出して疲れるが、樹林帯に入ってから不思議と気持ちいいくらいに足が動く。アミノバイタルの効果か?大きな立山杉の根っこが絡みつく登山道だったが、道に堆積した枯れた針葉樹がクッションになっていて、歩き心地がよかった。個人的には好きな道だ。
ロープのかかった箇所があり、杉の根をしっかりと持って下る。「2/8」ときて、沢の音がひと際大きくなる。いよいよ小屋に近付いたのか道は平坦となる。奥黒部ヒュッテ着、15時30分。結局、赤牛岳からヒュッテまでのコースタイムより早く着くことができた。
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ダム湖を見下ろし、山頂よりぐんぐん標高を下げます |
奥黒部ヒュッテ |
全身に水を浴びたような汗で疲労困憊だったが、その時に飲んだビールの味が、今までで一番美味しかったということ以外に、この時の充実感は言葉や文字では表すことが私にはできない。小屋前でビールを飲んでまたとろとろしながら、小屋からすぐのテント場に移動。テント場はかなり広い草地で日当たりよし。船窪、烏帽子と比べてなぜか虫がまったくいなかった。
テントを張って夕食の準備。小屋泊まりを挟んだせいもあるかもしれないが、テント生活がルーチン化しないまま、縦走は明日で終ろうとしている。なんで、1日目と2日目の行程を短縮してしまったのかな。まだ山にいたい気持ちの方が大きかった。今さらながらのことをビールを飲みながらぐだぐだ考えていた。
(※)印のある写真はたけさんからいただきました。
5日目は[針ノ木峠〜蓮華岳〜船窪岳〜烏帽子岳〜高天原〜赤牛岳〜黒部ダム Part5]に続く!
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